スチームナイト

連日の猛暑に耐えかねて、夜になったところで、いつもの電話。
Sを呼び出して、とりあえず風呂。
風呂あがりにバイクにまたがると、ちと夜風にあたりたくなった。
行くぜ、志賀島。乗りが悪い連中はおいてきぼり。
久々一人でいった。一人は2回目。いや3回目か。
深夜超特急。
島の環状線を、今日は右回りだ。
暗い闇の中をバイクの光が切り裂く。
高まる緊張。
きしむ筋肉。
風呂あがってきたはずなのに。
メッシュジャケット着てるのに。
いやに蒸し暑い夜だぜ。
島入り口の自動販売機前でしばらくたたずむと
打ち返す波の音がやけに大きく聞こえる。
ああ、そうだった。これなんだ。
これだよ。
リッターバイクの凶暴な加速感に身を任せて。
背景を自分の後ろに流していく快感。
ONとOFFしかない世界。
生と死が等価値な世界。
やけに蒸し暑いと思ったら、今日は夕立あったな。
雨上がりの夜風は、水蒸気まみれで、
とても暑苦しく。
空気を切り裂くように。おれはまた
加速するだけだ。

カテゴリー: 詩・エッセイ パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です