九州国立博物館で伊藤若冲の展示をしたときに購入した文庫。
若冲のことだけではなく、白隠、写楽、北斎のことや日本のデザインの歴史について「奇想」の系譜について書いてある本。ちょこちょこと読んでいたけど先日やっとすべて読了。
おもしろいなあと感じたのは、日本の見立ての文化。直接描写することは逆に失礼にあたる場合もある。神事などはあえて仮物をつかうことで、神様は喜ぶのだという概念が一般的だったというのはおもしろい指摘ではないだろうか。
たしかに、弥生時代から造られてきたミニチュア土器のたぐいはまさにそれではないだろうか。あれはその小ささにより、実用品ではないと皆に認識されたからこそ、神前へ捧げられたのだろう。
話を若冲に戻すが、九国博で見た若冲の絵はすごく迫力だった。とくにその幻想的なまでのリアリティへのこだわりと画面の構成の巧さは、純粋に驚きだった。
僕は、「鳥獣花木図屏風」の迫力とそのユーモアにまいってしまった。枡目描なんて技法が江戸時代からあることにも感じ入った。
奇想の系譜 (ちくま学芸文庫) | |
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