まず、言葉の定義からメモしておく。
かつ‐よう〔クワツ‐〕【活用】 の意味
出典:デジタル大辞泉
[名](スル)
1 物や人の機能・能力を十分に生かして用いること。効果的に利用すること。「学んだ知識を活用する」「資料を活用する」
2 文法で、語がその用法の違いによって体系的に語形変化をすること。また、その変化の体系。日本語では用言(動詞・形容詞・形容動詞)および助動詞に活用がある。
ここでは、主に1の意味で考えていく。
問われているのは、「史跡の活用とは何か」である。
1の用例に照らせば、こうなる。
史跡の機能・能力を十分に生かして用いること。史跡を効果的に利用すること。
と、なると、次の疑問は、当然こうなる。
史跡の機能(これは役割と言って良いかもしれないが)を十分に生かして用いるとはどういうことになるのか。そして、史跡を効果的に利用するとは一体何を示すのか。
文化財保護法で関係しているところを引用してみる。
文化財保護法
(昭和二十五年五月三十日法律第二百十四号)
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。
(文化財の定義)
第二条 この法律で「文化財」とは、次に掲げるものをいう。
四 貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で我が国にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で我が国にとつて学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
(政府及び地方公共団体の任務)
第三条 政府及び地方公共団体は、文化財がわが国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり、且つ、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることを認識し、その保存が適切に行われるように、周到の注意をもつてこの法律の趣旨の徹底に努めなければならない。
第七章 史跡名勝天然記念物
(指定)
第百九条 文部科学大臣は、記念物のうち重要なものを史跡、名勝又は天然記念物(以下「史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
第一条の目的のところに注目すると、この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。 と言っているけども、具体的に活用とは何かとかは書いてない。国民の文化的向上に役立てて、世界文化の進歩に貢献するのが目的なのか…。
まずは文化財(史跡)を保存するのが第一義であり、次に活用を行うことで、目的を果たしていく。